• 2018.12.10 UP

    12/10 今週のレコメンド【Alexis Ffrench】

    こんにちは。グランドファンクの茂木英興です。

    今回は絶賛公開中の映画「人魚の眠る家」の音楽をご担当いただいたアレクシス・フレンチさんのことをご紹介します。

    この方の音楽には映画「天空の蜂(2015)」の作曲家を探している時に出会ったのですが、海外の方とは思えない「日本情緒」豊かなメロディセンスに一目惚れでした。いつか必ずこの情感が役に立つ作品に出会えるはずとロックオンしたまま3年、やっとこの「人魚の眠る家」という作品で片想いが結実しました。

    ともすれば昼ドラ級のバタ臭さも香るメロディ(本気で良い意味です)なので、失礼ながらリチャード・クレイダーマン(白いタキシードを着た金髪長髪初老の白人)みたいなルックスを勝手に想像していました。ところがこのアレクシスさん、なんと30代イギリス人、むしろタフそうな黒人の方であり、このルックス(と若さ)からこのメロが繰り出される新鮮な奇跡性に僕はますます魅了されました。
    彼のメロディは(日本人の感覚からすると)確かにバタ臭いのですが、和音と演奏の構成に圧倒的な品格とインテリジェンスがあるので決して安っぽくはなりません。むしろその楽曲はどれもキャッチーさを保ちつつ常に高いステージに達していました。とことん映像的であり、深く淡い叙情性を持つアレクシスさんの音楽は「人魚の眠る家」という一義では語れないテーマを持つ映画のベストキャスティングになったとひとりごちております。

    Alexis Ffrench 『人魚の眠る家 オリジナル・サウンドトラック』



    映画の中ではフルサイズで使えなかったのですが、M15「The Sad Goodbye」はモリコーネ級の名曲だと思います。このサントラで存分にお楽しみいただけたら幸いです。


    以下、アレクシス・フレンチさんのコメントです。

    「私が音楽を担当した映画『人魚の眠る家』のオリジナル・サウンドトラック盤が11/16の映画公開に合わせて発売となります。この映画に関わることができたことを、心から光栄に思っています。そのストーリーに心動かされ、剥き出しにされた人間の感情とジレンマの表現は、映画の音楽を創作していく上で非常に影響を受けました。素晴らしいキャストの演技により、複雑な人間模様が紡がれていく様は、雄弁に感情に訴えかけ、抒情的でもあり、初めてこの映画を見た時、私の妻は涙を堪えきれませんでした。深く心打たれる映画に敬意を表して、私は消すことができない“魂”のメッセージをひとつの作品にしたかったのです」

    そしてそして、上記サントラと同時期に発売されたデビューアルバム『エヴォリューション』はiTunes UKクラシカル・アルバム・チャートNo.1を獲得し、さらに全英アルバム・チャートでもエミネム、ドレイクら世界的ポップ・アイコンと並んで30位にランクインするというクラシック・アーティストとしては異例の快挙を達成しています!!こちらもぜひ!!

    Alexis Ffrench 『エヴォリューション』



    「人魚の眠る家」サウンドトラックのレコーディング・リポートは共同音楽プロデューサー、宮地がロンドンにて立ち会ってきましたので彼から報告してもらいまーす。

    茂木英興(音楽プロデューサー)